歯を失った際の治療方法の一つが入れ歯（義歯）です。歯を失うと咬む力や発音、口元の顔立ちにも大きな影響を与えることがあります。しかし、入れ歯を使用することで、歯の機能を回復させ、食事や会話を含む日常生活がより快適に過ごせるようになります。この記事では、入れ歯の種類やメリット・デメリット、当院の治療の流れについて詳しくご紹介いたします。
入れ歯とは？
入れ歯は、失われた歯の部分に装着する取り外し可能な人工歯です。歯の欠損部分に入れ歯を装着することで、食事をしっかりと噛むことができ、さらに発音の改善にもつながります。さらに、歯を失った部分の空間を保ち、隣接する歯が傾いたり、対合する歯が伸びたりすることによる歯並びの乱れを防ぐ効果があります。
こんな方におすすめ
入れ歯は、以下のような方におすすめです。
- 歯を失った部分を補いたい方
- 治療費を抑えたい方
- 自然な見た目を希望する方
- インプラントができない方
- 歯をできるだけ削りたくない方
- 取り外しの自己管理ができる方
当院の入れ歯治療における特徴
当院では、患者様一人ひとりの口腔状態や生活スタイルに合わせた最適な入れ歯治療をご提案しています。保険診療で作成する基本的な入れ歯はもちろん、自費診療による幅広い選択肢もご用意しております。また、入れ歯は使用するうちにフィット感が変化することがあるため、定期的な調整や治療後のメンテナンスを通じて、患者様が長く快適に入れ歯をお使いいただけるよう、丁寧にサポートいたします。
入れ歯治療のメリット
短期間で治療が完了する
入れ歯は、失った歯の部分に合わせて作製するため、比較的短期間で治療が完了します。型取りを行った後、入れ歯を製作し、すぐに装着できるため、短期間で口腔機能の回復が可能です。
取り外しができる
入れ歯は取り外しが可能なため、清潔を保ちやすく、お手入れも簡単に行えます。
外科手術が不要
入れ歯は、手術を必要としない治療法です。型取りをした後、入れ歯を作成し、出来上がった入れ歯はすぐに使用できます。手術を避けたい方にも適した選択肢です。
保険適用の治療が可能
入れ歯は、保険診療を利用することで、費用を抑えて治療を受けることができます。保険適用の入れ歯も十分に機能性を持ち、日常生活を支える重要な役割を果たします。
入れ歯治療のデメリット
破損や摩耗のリスク
入れ歯はレジンと呼ばれる樹脂と人工歯でできているため、強い力が加わることで破損することがあります。また、噛む力による摩耗が進むことで、入れ歯の形状や噛み合わせの機能が変化する可能性もあります。
バネ（クラスプ）が目立つ
部分入れ歯では、金属のバネ（クラスプ）を歯にかけることで固定するため、金属の色が目立ちやすい場合があります。
自己管理が必要
入れ歯は使い続けるうちに汚れや着色が付着しやすく、ぬめりやにおいが発生する場合もあるため、日々の清掃や専用洗浄剤の使用が推奨されます。
基本的な入れ歯の種類
総入れ歯
すべての歯を失った方のための入れ歯が総入れ歯です。歯ぐきにぴったりとフィットするように設計され、噛む力や発音の機能を回復させることができます。入れ歯の土台となる床部分は樹脂製の素材で作られ、噛む力をしっかりと支えます。
部分入れ歯
一部の歯を失った場合に使用する入れ歯が部分入れ歯です。このタイプの入れ歯は、歯に固定するためのバネ（クラスプ）と樹脂製の床が一体となっているのが特徴です。部分的に歯ぐきに接する設計で、噛む力を分散させることができます。
入れ歯の素材別種類
保険適用の義歯
保険適用の義歯は、必要最低限の機能を果たすよう設計されています。土台部分は主にレジンと呼ばれるプラスチック製で、費用を抑えつつ多くの方が利用できるのが特徴です。しかし、強度や薄さに限界があり、装着時に違和感を覚える場合もあります。シンプルな構造のため、修理や調整が比較的容易で、初めて義歯を使用する方にも適しています。
金属床義歯
金属床義歯は、義歯の土台部分に金属を使用することで強度を高め、薄く仕上げられるため、装着時の違和感が少なく快適です。代表的な種類には、軽量で金属アレルギーを起こしにくいチタン床義歯、耐久性が高くコストを抑えられるコバルトクロム床義歯、そして生体親和性に優れ長持ちするゴールド床義歯があります。それぞれの素材には特徴があり、患者様のライフスタイルや口腔内の状況に応じて最適な選択が可能です。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、金属のバネ（クラスプ）を使用せず、弾力性のある特殊な樹脂で作られた部分入れ歯です。クラスプがないため、見た目が自然で目立ちにくいのが魅力です。また、柔軟性が高く、歯ぐきにフィットするため装着感が良いのも特徴です。審美性を重視する方や、入れ歯を使用していることを周囲に知られたくない方に適しています。
アタッチメントデンチャー
アタッチメントデンチャーは、残存歯に特殊な金具（アタッチメント）を装着し、それに対応する機構を入れ歯に組み込むことで、安定性と維持力を高めた入れ歯です。従来の金属のバネ（クラスプ）と比べて以下の特徴があります：
- 審美性に優れており、金属のバネが見えない
- 残存歯への負担が少ない
- 安定性が高く、着脱がスムーズ
- 咀嚼効率が良好
ただし、保険適用外の治療となるため、治療費用が比較的高額になります。また、アタッチメントの種類によっては、定期的なメンテナンスや部品の交換が必要となる場合があります。
コーヌスデンチャー
コーヌスデンチャーは、ドイツで開発された高精度な入れ歯システムです。残存歯に円錐（コーヌス）状の金属冠を装着し、入れ歯側にも対応する金属構造を設置することで、強固な維持力を得る特殊な入れ歯です。主な特徴として：
- 極めて高い維持力と安定性
- 残存歯への側方圧が少なく、長期的な予後が良好
- 違和感が少なく、自然な装着感
- 優れた咀嚼効率
一方で、高度な技術と精密な加工が必要となるため、治療費用が高額になる点や、作製に時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
最新のデジタル技術を活用した治療
CTを活用した診断と治療計画
当院では、最新のCT撮影装置を導入し、より精密な診断と治療計画の立案を行っています：
- 顎骨の状態を3次元的に把握
- 残存歯の状態を詳細に確認
- より正確な治療計画の立案が可能
- 患者様への視覚的な説明がしやすい
CTを活用することで、お口の中の状態をより詳しく把握し、それぞれの患者様に最適な入れ歯の設計が可能となります。また、将来的にインプラント治療への移行を検討される場合にも、CTデータは有用な情報となります。
当院の入れ歯治療の流れ
初診カウンセリング・基本検査
患者様のご要望を伺い、口腔内の状態を診察いたします。最適な入れ歯の種類や素材をご提案いたします。
治療計画の説明
検査結果をもとに治療計画をご説明いたします。入れ歯を作成する前に必要な治療があれば、全体の治療スケジュールについてもお話しいたします。
型取り
入れ歯がフィットするよう、精密に型取りを行います。
仮合わせ（試適）
仮の入れ歯を作成し、噛み合わせやフィット感を確認いたします。さらに、必要に応じて調整を行います。
入れ歯の完成
担当医のもとで完成した入れ歯の取り扱いの練習を行い、持ち帰って使っていただきます。
定期検診・メンテナンス
入れ歯が長持ちするよう、定期的な調整とメンテナンスを行います。
最後に
入れ歯は、噛む力の回復や見た目の改善を図るだけでなく、日常生活の質を向上させるための治療法です。当院では患者様に最適な入れ歯をご提案し、快適な生活をサポートいたします。興味のある方はお気軽にご相談ください。
